≪平成25年度の主な活動実績≫
ヒメコマツ保全協議会を継続して開催し、課題の検討を行いました。
生育個体の保全
- 薬剤の樹幹注入等による材線虫予防: マツ材線虫病予防のための薬剤の樹幹注入を行った個体について、ゾエティス・ジャパン(株)の協力を得て注入個体の枝の分析試験を行った結果、薬剤の濃度がかなり下がっていることが判明しました。
系統保存と補強
- 系統保存個体の維持管理: つぎ木クローン個体、実生苗、人工交配苗の維持管理を行いました。また、さし木試験、つぎ木試験等を実施しました。
- 試験植栽: 平成22年4月に『ちば千年の森をつくる会』の協力のもと豊英島(君津市)で実施した試験植栽について、植栽試験個体のモニタリングを行いました。
- 補強試験: かつて生育地であった清和県民の森区県有林内の2カ所に試験区を設定し、平成23年度末に苗木を移植しました。25年8月17日、26年3月21日に調査と草刈りを行ったところ、1個体で主幹枯れが見られましたが、生育に支障はないと思われます。
生育個体および生育環境のモニタリング
- 繁殖状況モニタリング: 着花調査、結実調査、種子の充実度の調査を行いました。野生22個体を調査したところ、球果の数は平成24年度とくらべると増加し、平成23年度と同程度でした。
- 生育状況モニタリング: 28個体について調査し、枯死した個体は見られませんでした。このうち12個体についてマツノザイセンチュウ感染の有無を調べたところ、4個体が感染していました。
基礎的調査研究
- 遺伝的多様性の解明: 天然の成木と実生、また植栽木から遺伝解析用のサンプリングをしました。天然成木については、他県の健全個体群と同様に遺伝的に多様であること、県内の地域間では大きな違いがないことが分かりました。一方、種子は約70%が自殖により作られており、個体群を維持することがとても難しい状況であることが分かりました。
教育活動と社会還元
- 観察会の実施: 豊英島に試験植栽したヒメコマツの観察会を、平成26年3月16日(日)に行いました。農林総合研究センターと東京大学千葉演習林のご指導で、ヒメコマツ生育状況のモニタリング調査を実施しました。