調査団報告2023年6月

調査対象生物の発見報告データをまとめました!

生命のにぎわい調査団が2008年7月に発足してから、15年が経ちました(2023年7月)。今回は、これまでに調査団の生き物報告に投稿された調査対象生物のデータを整理し、分布図としてまとめたものを紹介していきます。

前任者によって、2008年から2011年1月までの2年半に得られたデータを整理し、調査対象生物の分布図が作成されました(柴田, 2011)。しかし、この報告以降、にぎわい調査団のデータを整理し、団員の皆さまへとその結果を報告することができていませんでした。

そこで、今回は2023年3月31日(2022年度)までに得られたデータを整理し、調査対象生物36種の分布図を作成しましたので紹介します。

*関連するものとして、市区町村別の調査団員数の地図や発見報告が投稿された位置をまとめたものは2023年3月号にて紹介しました。

各調査対象生物の発見報告があった地点を3次メッシュ(1km×1kmの格子)単位で整理し、地図化してみました。下記の地図にある赤色の四角形が各種の生息が確認されたメッシュになります。図にすることにより、千葉県全体に広く分布する生き物、県北部を中心に分布するもの、県南部を中心に分布するもの、海岸沿いを中心に分布するものなど、種によって独自の分布パターンを示すことが分かりました。

図1

ニホンイタチ、キジ、コジュケイ、カワセミやオオバンなどの在来種は、県内の広範囲に分布する種であることが分かります。

図1続き

種名の横に「*」が付いているヤマアカガエルの分布には、本来の自然分布域外(北総地域)からの報告があったため、一部にニホンアカガエルと誤同定したものが含まれている可能性があります。

図1続き

種名の横に「*」が付いているハマヒルガオの分布には、本来の自然分布域外である海岸沿いではなく内陸部からの報告もあったため、一部にヒルガオと誤同定したものが含まれている可能性があります。ナガエツルノゲイトウについては、研究者による調査結果も加えた分布図も掲載しています。

図1続き

ハリセンボン、スベスベマンジュウガニやサキグロタマツメタなどの海洋生物の報告はほとんどないことが分かりました。

なお、期間内に一件も報告がなかったツマジロナガウニ、マツモ、アフリカツメガエル(2023年度に報告あり)の3種は作図を行いませんでした。

調査団員ひとりひとりが投稿した生き物の発見情報は少ないかもしれませんが、それらを集約し地図に落とし込むことで各種の分布図を作成することができました。地図を作成することによって、各種の生息状況の全体像や、生息に好適な環境(例えば、平地を好む、森林地帯を好むなど)を把握することに繋がります。

調査対象生物の中には分布地点が非常に少ないものも見られます。本当に分布域が狭いのか、調査する団員が少ないためか、ありふれた生物のために報告されにくいのか、など様々な理由が考えられます。もし、空白地帯で調査対象生物を発見された際は是非とも報告いただけますと幸いです。皆様で一丸となって千葉県の生物多様性の全体像把握を行っていきたいと思いますので、今後とも、生き物報告フォームをご活用いただけますと幸いです。

なお、今回まとめた結果は千葉県生物多様性センターが発行する「研究報告」にて誌面での発表を行う予定です。

調査団報告 2023年6月

6月分のデータ(Excel)は以下のリンクよりダウンロードできます

ただし、無許可で報告データを公開することを禁じます

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生き物を発見された際はまず、その生き物の写真を撮り、お手持ちの図鑑で調べてみてください。そして、「○○○」だと思うが特徴が少し違う、といったところまで調べていただけると助かります。
報告で種名が不明になっていた場合や、報告写真から判定して種名を変更した場合は、各月の報告一覧には、事務局で判定した種名を記入しています。
皆さんからいただく報告の中には、希少な生物の発見、生息状況の新たな発見、活き活きとした生きものの営み等の写真が多くあり、事務局としても大変楽しませていただいています。

外来種対策:外国産の生きもの・外来生物、国内でも他地域の生きもの・移入生物は、野外に放さないでください。
飼育した生きものは責任をもって、最後まで飼いましょう。外来生物によって、日本の在来の生物(植物、動物)は、大きな影響を与えられています。国内、千葉県の生態系と生息する生きものを守るためには、知る、調べる、行動する/駆除するなどが必要になっています。

外来生物に関する情報は

環境省「 環境省HPー外来生物法のウェッブページ 」をご覧ください。

  • 外来生物被害予防三原則
  • ~侵略的な外来生物(海外起源の外来種)による被害を予防するために
  • 1.入れない
  • ~悪影響を及ぼすかもしれない外来生物をむやみに日本に入れない
  • 2.捨てない
  • ~飼っている外来生物を野外に捨てない
  • 3.拡げない
  • ~野外にすでにいる外来生物は他地域に拡げない。
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