条件付特定外来生物に指定されたアカミミガメ(Trachemys scripta)の規制が2023年6月1日より始まりました。
条件付特定外来生物は、外来生物法に基づき特定外来生物に指定された生物のうち、通常の特定外来生物の規制の一部を、当分の間、適用除外とする(規制の一部がかからない)生物の通称です。条件付特定外来生物も法律上は特定外来生物となります。詳しくは環境省のサイトをご覧ください。
今号では、アカミミガメの生態や形態的な特徴に加え、条件付特定外来生物に指定されたことによる注意点を紹介していきます。今まで自由にできたこと(違法ではなかった)の一部が法律で規制され、知らずに行ってしまうと罰則を受けてしまう恐れがあるためご注意ください。
アカミミガメは北アメリカ(アメリカ合衆国とメキシコ)を原産とする水生のカメです。大きさは背甲長(甲羅の長さ)で表され、20cmから28cmほどの大きさになります。アカミミガメには3つの亜種(キバラガメ Trachemys scripta scripta、カンバーランドキミミガメ Trachemys scripta troostii、ミシシッピアカミミガメ Trachemys scripta elegans)があり、日本国内で主に見られるのはミシシッピアカミミガメです。以下、アカミミガメと略し、生態や形態を紹介していきます。
頭部の両脇に見られる赤色の斑が特徴的です。咬みつかれるとペンチでずっと挟まれているような感覚(筆者の体験談)でとても痛いです。一度咬みつかれるとなかなか離してくれませんので、触る際は咬まれないように注意しましょう。
アカミミガメのオスは爪が長くなるのが特徴です。この長い爪をメスの前で振るわせる行動をとって求愛します。野外でもたびたび見られる行動なので、ぜひ探してみてください。
大きく成長したオスの成熟個体の中には、体色が黒化する個体が見られます。黒化と言っても黒くなるだけではなく、色が抜けてより地味な色になったり、在来種のニホンイシガメと見間違うくらいに甲羅が黄色っぽくなる個体がでてきます。「ニホンイシガメを見つけました!」と見せてもらった写真が、実は黒化したアカミミガメだったという事例もたびたび聞きますので、注意が必要です。
幼体のころは体全体が鮮やかな緑色をしています(通称、ミドリガメ)。このような特徴から、一昔前まではお菓子やお祭り(カメすくい)の景品としてたびたび利用され、またペット用として数多くの個体が売買されてきました。しかし、成長するにしたがって体色は地味な色へと変わり、狂暴性も増してきます。20cmを超えるほど大きくなることもあり、飼いきれなくなった個体が野外へと放出され、日本各地の河川や溜池で定着してしまったと考えられています。
特定外来生物に指定されると、輸入、放出、譲渡し、運搬、飼養等の行為ができなくなります。しかし条件付特定外来生物に指定されたアカミミガメ(アメリカザリガニも同様)は、これまでの特定外来生物への指定とは異なり、届出等の手続きを行うことなく飼育し続けることができます。また、野外で捕獲したものを生きたまま移動することも可能です。飼い続けることができなくなった場合には、友人・知人等に無償で譲渡すこともできます。
その一方で、飼いきれなくなった個体を池や川などの野外に放すことは法律で禁止されます。違反すると罰則・罰金の対象となります。また、適切な管理を行わずに自力で逃げ出した場合も違法となることがあります。逃げ出さないような容器(自力で開けられないふたが付いたもの等)で飼育したり、脱走を防止する柵で覆うなどの適切な方法で飼育することが推奨されています。
なお、売買だけでなく無償であっても頒布(不特定多数または特定多数の者に配り分けるような行為)は規制されます。
詳細は、環境省が公開しているサイトをご覧ください。
一般的にはあまり知られていないようですが、アカミミガメはどんな環境にも住めるようなカメではありません。主に、止水や流れの緩やかな環境に生息する生き物で、流れの強い河川の上流域には住めません。河川の表層部をぷかぷかと浮くように生活しているため、流れのある環境では同じ場所に留まることができず、流されてしまうからだと考えられています。原産地での生息環境を反映するように、千葉県内でも溜池などの止水や河川下流部など、ある程度水深のある流れの緩やかな流水環境を中心に生息しています。
たくさんのアカミミガメが生息する養老川下流。手前のテトラポッドの上で気持ちよさそうに日光浴する姿が観察できます。
アカミミガメは水辺近くの陸地や人工物等において頻繁に日光浴します。水面に顔の一部を出した状態でぷかぷか浮いている姿も頻繁に見られます。このような生態が分布調査のときに役立ちます。
水辺の近くにある陸地に目を向けると、多くのアカミミガメが日光浴している姿が観察できるかもしれません。
アカミミガメは川岸や流木、水面に浮かぶ人工物やコンクリート護岸などの様々な場所で日光浴します。たびたび複数の個体が同じ場所で日光浴したり、遊泳したりすることから、容易にその存在や多さを把握することができます。見かけた際は、アカミミガメの数をカウントしてみてください。
こちらは、筆者が個人的に実施した調査と生命のにぎわい調査団によって報告されたデータをもとに作成したアカミミガメの分布図です(生物多様性ちばニュースレター74号で紹介したもの)。図から分かるように、アカミミガメの分布は平地に集中し、丘陵地や山間部にはほとんど見られません。
しかし、丘陵地や山間部であっても、ダム化に伴って止水ができた区間や池などの止水には見られることがあります。例えば、亀山湖周辺の流れの緩やかになった区間はアカミミガメの巣窟になっており、橋の上から多数のアカミミガメを観察することができます。
今後、分布図にない地域においてアカミミガメを発見された際は、是非とも生命のにぎわい調査団の発見報告までご投稿ください。
調査団員の皆様へ
住所・電話番号・メールアドレスの変更があった場合は、調査団事務局のメールアドレスへご連絡ください。(団員番号と氏名をお忘れなく)
住所・電話番号の変更の場合で、メールを使われない方は、FAXまたは電話にてご連絡ください。
生き物を発見された際はまず、その生き物の写真を撮り、お手持ちの図鑑で調べてみてください。そして、「○○○」だと思うが特徴が少し違う、といったところまで調べていただけると助かります。
報告で種名が不明になっていた場合や、報告写真から判定して種名を変更した場合は、各月の報告一覧には、事務局で判定した種名を記入しています。
皆さんからいただく報告の中には、希少な生物の発見、生息状況の新たな発見、活き活きとした生きものの営み等の写真が多くあり、事務局としても大変楽しませていただいています。
環境省「 環境省HPー外来生物法のウェッブページ 」をご覧ください。