特定外来生物に指定されるクビアカツヤカミキリが日本各地に侵入し、千葉県の近隣地域(例えば、東京都、埼玉県、茨城県、栃木県、群馬県)にも既に定着しています。千葉県内へはいつ侵入してもおかしくない状況であり、仮に侵入した際には早期の発見・駆除が被害の拡大を防ぐことに繋がります。
今号では、クビアカツヤカミキリの生態、形態的特徴や影響を紹介するとともに、誤って種判別するおそれのある生物(見た目が類似する生物)等を紹介します。
なお、「提供:埼玉県環境科学国際センター」と表記した写真は埼玉県環境科学国際センターが管理するWEBサイト(https://www.pref.saitama.lg.jp/cess/center/kubiaka_freeimage.html)で公開されているものを使用しました。
中国、台湾、朝鮮半島、ベトナムを原産とする外来のカミキリムシの仲間です。体長(触角は含まない)は2.5-4cmほどで、オスはメスに比べて触角が長いといった特徴があります。胸部が赤色で、体全体はツヤのある黒色をしているのが特徴です。成虫は5月下旬から8月頃に見られると言われています。
幼虫の時期はサクラやウメ、モモ等の樹木(主にバラ科)に寄生し、樹の内部を食べて育ちます(幼虫の期間は2~3年とされています)。その際、樹木に穴をあけてフラスと呼ばれる排泄物を樹木の外に出します。このフラスは木くずと糞が混ざったもので、かりんとう状(クビアカカミキリの特徴)の形状をしています。
写真にあるようなかりんとう状のフラスはクビアカツヤカミキリの侵入を示唆する貴重な情報となりますので、類似したフラスを見かけた際は、是非とも写真に収め、生命のにぎわい調査団の生き物報告まで投稿していただけますと幸いです。
幼虫がサクラやウメ、モモなどのバラ科樹木に寄生し、樹の内部を食べて育つことから、多種多様な樹木を枯らしてしまいます。また、サクラ並木、街路樹、果樹園などに大きな被害を及ぼすとともに、枯死した木の枝が落ちてしまったり、倒木が発生するおそれがあることから、特定外来生物に指定されました。現在、飼養、保管、生きたままの運搬、輸入、野外への放出等が原則禁止されていますので、誤って飼育したり、生きたまま移動させたりしないようにご注意ください。
千葉県内に生息する生き物の中には、クビアカツヤカミキリと類似した形態的な特徴を持つことから、誤って種判別されることがあります。そこで、たびたび間違われる、または間違われることが懸念されている生き物を数種紹介します。クビアカツヤカミキリと誤って駆除してしまうことのないよう、ご注意ください。
チャイロホソヒラタカミキリ
0.8~1.5cmほどの大きさのカミキリムシの仲間です。全体的に黒地の体色に胸部が赤色っぽい色をしていることから、体色パターンがクビアカツヤカミキリに似ていますが、体はより小さいです。また、チャイロホソヒラタカミキリの胸部の形状が「ビーズ」型である一方で、クビアカツヤカミキリでは「そろばんの珠」型となっており、容易に区別することができます。
ゲンジボタル
1~1.5cmほどの大きさのホタルの仲間です。全体的に黒地の体色で、胸部が赤色であることからクビアカツヤカミキリと類似した体色パターンをしています。しかし、クビアカツヤカミキリよりも小型なこと、触覚が短いこと、夜間に光ることなどの特徴から容易に区別できます。
リンゴカミキリ
1.5~2.3cmほどの大きさのカミキリムシの仲間です。全体的に黒地の体色に胸部に明るい色が見られることからクビアカツヤカミキリと間違われることがありますが、リンゴカミキリの胸部が橙色であることから容易に判別できます。
ムネアカトゲコマユバチ
1.0~1.2cmほどの大きさのハチの仲間です。カミキリムシではなくハチの仲間であること、翅が全体的に黒色である一方で頭部を含めた体全体が赤色であることからクビアカツヤカミキリと区別することができます。また、このハチはカミキリムシの幼虫に寄生する生活史を持つため、カミキリムシ(幼虫)による食害を受けた樹木周辺で見られることがあります。
マメハンミョウ
1~2cmほどの大きさのツチハンミョウの仲間です。水田の畔や川の土手、草地で見られます。全体的に黒地の体色ですが、白色の縦線が入ること、頭部のみが赤色をしていることから、クビアカツヤカミキリとは容易に区別できます。
栃木県(2023)クビアカツヤカミキリ防除マニュアル 改訂第4版
調査団員の皆様へ
住所・電話番号・メールアドレスの変更があった場合は、調査団事務局のメールアドレスへご連絡ください。(団員番号と氏名をお忘れなく)
住所・電話番号の変更の場合で、メールを使われない方は、FAXまたは電話にてご連絡ください。
生き物を発見された際はまず、その生き物の写真を撮り、お手持ちの図鑑で調べてみてください。そして、「○○○」だと思うが特徴が少し違う、といったところまで調べていただけると助かります。
報告で種名が不明になっていた場合や、報告写真から判定して種名を変更した場合は、各月の報告一覧には、事務局で判定した種名を記入しています。
皆さんからいただく報告の中には、希少な生物の発見、生息状況の新たな発見、活き活きとした生きものの営み等の写真が多くあり、事務局としても大変楽しませていただいています。
環境省「 環境省HPー外来生物法のウェッブページ 」をご覧ください。