気温の低い日が続くようになり、今まで目にしていた昆虫たちと出会う機会が非常に少なくなってしまいました。これは、多くの生き物たちが越冬準備をはじめ、人目につかない場所へひっそりと移動してしまったためです。
しかし、こんな季節でも探し方によっては昆虫たちに出会うことができます。今号では、冬の昆虫探しを中心に、冬場の楽しみ方を紹介していきます。
藪の中を観察してみると、ホソミオツネントンボ等の昆虫が枝につかまってじっとしている姿が見つかるかもしれません。風の遮られた藪の中は、成虫で越冬するタイプのトンボにとっては絶好の越冬場所のようです。
*日本では成虫で越冬するトンボは非常に少ない
地面に横たわっている倒木も、冬の生き物観察のポイントとなります。生き物たちがびっくりしないようにゆっくりと倒木を移動させてみると、下から色々な生き物を発見できます。例えば、写真にあるようにヤマトシロアリの群れが見つかるかもしれません。その他、ハサミムシ、ムカデ類やミミズ類など様々な生き物を観察するにはうってつけのポイントでもあります。
朽木の中も生き物探しのポイントです。写真にあるウスバカミキリの幼虫をはじめ、様々なカミキリ類、タマムシ類の幼虫やマイマイカブリの成虫等が観察できます。ただし、ゴキブリ類が越冬していることもありますので、苦手な方は注意してください。また、朽木は上記の生き物たちの重要な生活場かつ餌場でもありますので、朽木を過剰に壊してしまわないように配慮しましょう。
普段何気なく素通りしている斜面も、冬場の生き物観察のポイントです。斜面をシャベルなどで優しく掘ると想像もしていなかった生き物に出会えるかもしれません。例えば、写真にあるマイマイカブリです。マイマイカブリは朽木だけでなく、斜面の土中も越冬場所として利用しています。
斜面の他に、畔や空き地、庭等の地中ではカエル類やトカゲ類(ニホンカナヘビ等)等も越冬場所として利用しているため、昆虫以外の生き物にも出会えるかもしれませんね。
冬場の生き物観察ポイントのラストは樹木プレートの裏です。青葉の森公園などの都市公園にある樹木プレートは様々な生き物たちが越冬する場であり、一番簡単かつ観察しやすいポイントかもしれません。
早速裏返していきましょう。観察のポイントは、プレートを裏返した際に生き物たちが落ちてしまわないようプレートの上側からのぞき込むことです。決して、下から開けないようにしましょう。これは、生き物が落ちてしまって観察できなくなるだけでなく、せっかく良い越冬場所に隠れてじっとしていた生き物たちを冬の過酷な環境へと追いやってしまう、下に落ちた生き物たちが寒さで死んでしまったり、強風で飛ばされてしまったり、鳥類などの捕食者に襲われてしまうかもしれないからです。
樹木プレートから見られる生き物の代表はテントウムシ類です。写真にあるようにナミテントウが密集して越冬している姿を観察することができます。また、キアシブトコバチ等の可愛い昆虫に出会えるかもしれません。
クサギカメムシなどのカメムシ類なども観察できます。冬場は寒さで昆虫たちがじっとしているのでとても観察しやすいです。
様々なクモ類に出会うこともあります。クモ類は越冬場所として利用しているだけでなく、餌場としても利用しているようで、餌生物がやってこないか出待ちしているようです。
子どもたちが大好きなクワガタ類に出会うこともあります。例えば、写真にあるコクワガタも樹木プレートの裏で見られる大物の1つです。
今回、冬場に生き物を観察する際のポイントを紹介しました。これらの観察方法はとても容易かつ低コストで行うことができますが、いくつかの注意点があります。
今回紹介した生き物の多くは、過酷な冬を乗りきるために適した場所で越冬しています。ですので、観察が終わったら速やかに、元の場所に返してあげましょう。また、過剰に環境を改変して、生き物たちの越冬場所を劣化させないように配慮しましょう。
調査団員の皆様へ
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生き物を発見された際はまず、その生き物の写真を撮り、お手持ちの図鑑で調べてみてください。そして、「○○○」だと思うが特徴が少し違う、といったところまで調べていただけると助かります。
報告で種名が不明になっていた場合や、報告写真から判定して種名を変更した場合は、各月の報告一覧には、事務局で判定した種名を記入しています。
皆さんからいただく報告の中には、希少な生物の発見、生息状況の新たな発見、活き活きとした生きものの営み等の写真が多くあり、事務局としても大変楽しませていただいています。
環境省「 環境省HPー外来生物法のウェッブページ 」をご覧ください。