1.背景と目的
2.選定の方法
3.選定の対象
本書が対象とした分類群は、以下のとおりである。
4.千葉県レッドデータブック共通評価基準及びカテゴリー
レッドデータブックに掲載されることは、対象種が絶滅の危機に瀕していると同時に、その種が保護を必要としていることを示している。この点を踏まえ、評価基準は保護の必要度の高さから区分がされている。現在、県内で生息・生育が確認されている種のカテゴリーは4段階とし、現在まで長期にわたって確実な生息・生育情報のない、消息不明または絶滅したものを加え、全体で5段階とした。
X 消息不明・絶滅生物 |
かつては生息・生育が確認されていたにもかかわらず、近年長期にわたって確実な生存情報がなく、千葉県から絶滅した可能性の強い生物。ただし、すでに保護の対象外となったかに見える生物であっても、将来、他の生息・生育地からの再定着や埋土種子の発芽などにより自然回復する可能性もありうるので、かつての生息・生育地については、現存する動植物と共に、その環境の保全に努める必要がある。 |
A 最重要保護生物 |
個体数が極めて少ない、生息・生育環境が極めて限られている、生息・生育地のほとんどが環境改変の危機にある、などの状況にある生物。放置すれば近々にも千葉県から絶滅、あるいはそれに近い状態になるおそれがあるもの。このカテゴリーに該当する種の個体数を減少させる影響及び要因は最大限の努力をもって軽減または排除する必要がある。 |
B 重要保護生物 |
個体数がかなり少ない、生息・生育環境がかなり限られている、生息・生育地のほとんどで環境改変の可能性がある、などの状況にある生物。放置すれば著しい個体数の減少は避けられず、近い将来カテゴリーAへの移行が必至と考えられるもの。このカテゴリーに該当する種の個体数を減少させる影響及び要因は可能な限り軽減または排除する必要がある。 |
C 要保護生物 |
個体数が少ない、生息・生育環境が限られている、生息・生育地の多くで環境改変の可能性がある、などの状況にある生物。放置すれば著しい個体数の減少は避けられず、将来カテゴリーBに移行することが予測されるもの。このカテゴリーに該当する種の個体数を減少させる影響及び要因は最小限にとどめる必要がある。 |
D 一般保護生物 |
個体数が少ない、生息・生育環境が限られている、生息・生育地の多くで環境改変の可能性がある、などの状況にある生物。放置すれば個体数の減少は避けられず、自然環境の構成要素としての役割が著しく衰退する可能性があり、将来カテゴリーCに移行することが予測されるもの。このカテゴリーに該当する種の個体数を減少させる影響は可能な限り生じないよう注意する。 |
5.選定の結果
本書に掲載された種は、シダ植物83種、種子植物599種、蘚苔類58種、藻類25種、地衣類36種、菌類30種の計831種である。また、掲載された植物群落は141群落である。
千葉県に自生する在来種は、維管束植物(種子植物とシダ植物)では、約2,700種であり、その内の約25%が本書に掲載されている。また、カテゴリーXの消息不明・絶滅生物に選定されたものは、維管束植物では42種、維管束以外の植物では18種であり、既に県内から、多くの植物種が失われた可能性が高いことが明らかとなった。さらに、カテゴリーAの最重要保護生物にも101種が選定され、現在多くの種が絶滅の危機に瀕していることを示している。
カテゴリー
分類群
|
X | A | B | C | D | 総計 | |||
シダ植物 | 13 | 14 | 18 | 26 | 12 | 83 | |||
種子植物 | 裸子植物 | 0 | 0 | 0 | 2 | 4 | 6 | ||
被子植物 | 双子葉類 | 離弁花類 | 7 | 11 | 29 | 78 | 58 | 183 | |
合弁花類 | 5 | 8 | 28 | 84 | 39 | 164 | |||
単子葉類 | 17 | 24 | 59 | 95 | 51 | 246 | |||
維管束植物 計 | 42 | 57 | 134 | 285 | 164 | 682 |
カテゴリー
分類群
|
X | A | B-D * | 総計 |
蘚苔類 | 5 | 13 | 40 | 58 |
藻類 | 1 | 17 | 7 | 25 |
地衣類 | 12 | 11 | 13 | 36 |
菌類 | 0 | 3 | 27 | 30 |
維管束植物以外の植物 計 | 18 | 44 | 87 | 149 |
* 維管束植物以外の植物では、カテゴリーB、C、Dを区分しなかった。
分類群 | 掲載群落数 | 選定群落ヵ所数 |
植物群落 | 141 | 1,223 |
6.その他